高齢者用ベッドの種類と選び方!介護度別の最適なものとは?

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介護施設や病院で高齢者向けのベッドを導入する際、高齢者用ベッドには介護ベッド、リクライニングベッド、低床ベッドなど様々な種類があります。

利用者の介護度や身体状況に応じて、最適な種類を選ぶ必要があります。

しかし種類が多いため、それぞれの特徴と適した利用者を理解することが重要です。

特に介護度が上がるにつれて必要な機能が増えるため、将来的な介護度の変化も考慮して選定します。

本記事では、高齢者用ベッドの種類と、介護度別の選び方、価格とレンタルの比較について詳しく解説します。

高齢者用ベッドの種類

高齢者用ベッドは、介護ベッド、リクライニングベッド、低床ベッド、畳ベッドの4種類があり、それぞれ機能と用途が異なります。

介護ベッドは、電動モーターによる背上げ・膝上げ・高さ調整機能を備えた高齢者用ベッドです。1モーター、2モーター、3モーターがあり、モーター数が多いほど機能が充実しています。要介護1以上の高齢者に適しており、起き上がりや立ち上がりを補助する機能があります。価格は新品で8万円から20万円程度、中古品で3万円から12万円程度です。介護保険のレンタル対象となるため、要介護2以上であれば月額1割負担で利用できます。サイドレールやマットレスなどの付属品も豊富で、利用者の状態に応じてカスタマイズできます。

リクライニングベッドは、背もたれ部分のみが電動で起き上がる簡易的な高齢者用ベッドです。介護ベッドほどの高度な機能はありませんが、読書やテレビ視聴を快適に行えます。自立または要支援の高齢者に適しており、介護ベッドほどの機能が必要ない場合に選択されます。価格は5万円から10万円程度で、介護ベッドより安価です。ただし、介護保険のレンタル対象外のため、全額自己負担となります。デザイン性が高いモデルも多く、在宅介護で居室の雰囲気を損ねたくない場合に適しています。

低床ベッドは、床からの高さが非常に低く設定できる高齢者用ベッドです。床から10cmから15cm程度まで下げられるため、転落時の怪我のリスクを最小限に抑えられます。認知症により転落のリスクが高い高齢者や、ベッドからの立ち上がりが困難で床に座ってから立ち上がる高齢者に適しています。価格は10万円から18万円程度で、通常の介護ベッドとほぼ同価格です。電動機能を備えたモデルもあり、低床と電動機能を両立できます。

畳ベッドは、マットレスの代わりに畳を使用する高齢者用ベッドです。畳の感触を好む高齢者や、和室に設置する場合に適しています。高さ調整機能があるモデルもあり、床からの立ち上がりを補助できます。価格は8万円から15万円程度です。ただし、電動機能を備えたモデルは少なく、機能性は介護ベッドに劣ります。在宅介護で、高齢者が畳での生活を希望する場合に選択されます。

高齢者用ベッドの種類は、機能が充実した介護ベッド、簡易的なリクライニングベッド、安全性の高い低床ベッド、和の雰囲気の畳ベッドがあります。

次に、介護度別の高齢者用ベッドの選び方について詳しく解説します。

介護度別の高齢者用ベッドの選び方

高齢者用ベッドは、自立から要支援はリクライニングベッド、要介護1から2は2モーター介護ベッド、要介護3以上は3モーター介護ベッドが適しています。

自立から要支援の高齢者には、リクライニングベッドまたは1モーター介護ベッドが適しています。この段階の高齢者は自分で起き上がりや立ち上がりができるため、高度な電動機能は必要ありません。背もたれを起こして読書やテレビ視聴ができる程度の機能で十分です。ただし、将来的に介護度が上がる可能性を考慮し、介護保険のレンタル対象となる1モーター介護ベッドを選ぶ方が長期的には有利な場合があります。サービス付き高齢者向け住宅など、比較的自立度が高い高齢者が多い施設では、1モーターまたはリクライニングベッドの導入が適しています。

要介護1から2の高齢者には、2モーター介護ベッドが適しています。この段階の高齢者は、起き上がりや立ち上がりに多少の困難を感じ始めています。背上げ機能により起き上がりを補助し、高さ調整機能により立ち上がりやすい高さに設定できることが重要です。2モーター介護ベッドであれば、高齢者の自立を支援しながら、介護者の負担も軽減できます。有料老人ホームやグループホームなど、要介護1から2程度の高齢者が多い施設では、2モーター介護ベッドが標準的に導入されます。

要介護3以上の高齢者には、3モーター介護ベッドが適しています。この段階の高齢者は、自力での体位変換が困難で、褥瘡予防のために定期的な体位変換が必要です。3モーター介護ベッドの膝上げ機能により、背上げ時に体がずり落ちるのを防ぎ、快適な姿勢を保てます。食事介助やおむつ交換も頻繁に行うため、高さ調整機能により介護者の負担を軽減できます。特別養護老人ホームや介護療養型医療施設など、要介護3以上の重度の高齢者が多い施設では、3モーター介護ベッドの全室導入が推奨されます。

認知症の高齢者には、低床ベッドの検討も必要です。認知症により夜間にベッドから降りようとして転落するリスクが高い場合、低床ベッドにすることで転落時の怪我を防げます。ただし、低床ベッドは介護者にとって介護作業がしにくいため、日中は通常の高さに調整し、夜間のみ低床にする運用も有効です。認知症対応型グループホームでは、利用者の状態に応じて低床機能付きの介護ベッドを導入する場合があります。

施設での選定では、利用者全体の介護度分布を分析することが重要です。要介護3以上が6割以上を占める施設では、全室に3モーター介護ベッドを導入することが推奨されます。要介護1から2が中心の施設では、2モーター介護ベッドを基本とし、一部の居室に3モーター介護ベッドを配置する方法が効率的です。

高齢者用ベッドの選定は、自立から要支援はリクライニングベッド、要介護1から2は2モーター、要介護3以上は3モーターという介護度別の基準があります。

次に、高齢者用ベッドの価格とレンタルの比較について解説します。

高齢者用ベッドの価格とレンタルの比較

高齢者用ベッドの価格は、購入が8万円から20万円の初期投資が必要で、レンタルは月額1千円から3千円の負担ですが、5年以上使用する場合は購入が有利です。

購入による導入は、初期投資が必要ですが長期的にコストを抑えられます。2モーター介護ベッドを購入する場合、新品で12万円から15万円程度、中古品で5万円から8万円程度です。10年間使用すれば、新品の場合は年間コスト1万2千円から1万5千円、月間コスト1千円から1千3百円程度です。中古品の場合は年間コスト5千円から8千円、月間コスト約4百円から7百円程度まで抑えられます。購入のメリットは、長期使用によるコスト削減と、自由にカスタマイズできることです。

レンタルによる導入は、初期投資を抑えられます。介護保険を利用したレンタルの場合、要介護2以上であれば1割負担で月額1千円から3千円程度です。要介護4から5の場合、3モーター介護ベッドが月額2千円から3千円程度でレンタルできます。ただし、要介護1以下の場合は介護保険の対象外となり、全額自己負担で月額1万円から2万円程度かかります。レンタルのメリットは、初期投資が不要で、故障時の修理や交換が無料で行えることです。

5年間の総コストで比較すると、購入とレンタルの損益分岐点が見えてきます。2モーター介護ベッドを新品購入した場合の5年間のコストは12万円から15万円です。介護保険レンタルの場合、月額2千円として5年間で12万円となり、ほぼ同等です。しかし、購入した場合は5年経過後も使用できるため、6年目以降はコストがかかりません。レンタルの場合は使用し続ける限り月額費用が発生します。

施設での導入では、購入が一般的です。施設では複数台を長期間使用するため、購入の方がトータルコストを抑えられます。50床の施設で2モーター介護ベッドを導入する場合、新品購入なら総額600万円から750万円、中古購入なら総額250万円から400万円です。10年間使用すれば、年間コストは新品で60万円から75万円、中古で25万円から40万円となり、大幅なコスト削減が可能です。

在宅介護では、レンタルが選択されることが多いです。在宅介護では使用期間が不確定で、利用者の状態変化によりベッドの種類を変更する必要がある場合もあります。レンタルであれば、状態に応じてベッドを交換でき、使用しなくなった時点で返却できます。介護保険を利用すれば、月額負担も1千円から3千円程度と少額です。

高齢者用ベッドは、購入が8万円から20万円の初期投資で長期的にコスト削減でき、レンタルは初期投資不要で状態変化に対応しやすいメリットがあります。