介護施設でベッドを導入する際、施設の種類と利用者の介護度に応じて選ぶ必要があります。
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームでは、それぞれ求められる機能が異なります。
しかし導入台数が多いため、1台あたりの価格差が全体予算に大きく影響します。
特に新規開設時には複数台を一度に導入するため、購入とリースの比較検討が重要です。
本記事では、施設種別ごとの介護施設ベッドの選び方と、最適な導入方法について詳しく解説します。
介護施設ベッドの選び方
介護施設ベッドは、施設の種類と利用者の平均介護度に応じてモーター数を選定し、複数台導入を前提に予算を組みます。
介護施設の種類によって、必要な介護ベッドの機能が異なります。特別養護老人ホームは要介護3以上の重度の利用者が中心のため、3モーター介護ベッドが推奨されます。有料老人ホームは要介護1から3程度の利用者が多いため、2モーターまたは3モーターの組み合わせが適しています。グループホームは認知症の利用者が中心で、介護度は要介護1から3程度が多いため、2モーターが基本となります。
介護施設ベッドを選ぶ際の重要ポイントは、利用者の平均介護度の把握です。施設全体の利用者の介護度を分析し、要介護3以上が何割を占めるかを確認します。要介護3以上が6割以上であれば、全室に3モーターを導入することが推奨されます。要介護3以上が3割から5割程度であれば、半数を3モーター、残りを2モーターにする方法もあります。
耐久性も重要な選定基準です。介護施設では1台のベッドが5年から10年程度使用されるため、長期使用に耐える耐久性が必要です。フレームの溶接部分の強度、モーターの耐久性、サイドレールの取り付け部分の強度などを確認します。安価な製品は初期コストが低いですが、3年から4年で故障するリスクがあり、長期的にはコスト高になる可能性があります。
メンテナンス体制も考慮します。介護施設では複数台のベッドを使用するため、故障時の対応が迅速に行える販売業者を選ぶことが重要です。部品供給が安定しているメーカーを選び、修理対応できる業者が近隣にいるかを確認します。定期メンテナンスサービスを提供している業者であれば、計画的なメンテナンスが可能です。
介護施設ベッドは、施設種別と利用者の介護度に合わせてモーター数を選び、耐久性とメンテナンス体制を考慮して選定します。
次に、施設種別ごとの介護ベッド選定基準について詳しく解説します。
施設種別ごとの介護ベッド選定基準
介護施設ベッドの選定基準は、特別養護老人ホームは全室3モーター、有料老人ホームは2モーターと3モーターの併用、グループホームは2モーター中心が推奨されます。
特別養護老人ホームは、要介護3以上の重度の利用者が入所する施設です。全室に3モーター介護ベッドを導入することが推奨されます。利用者の多くは自力での体位変換が困難で、褥瘡予防のために定期的な体位変換が必要です。膝上げ機能により、背上げ時の体位のずれを防ぎ、利用者の快適性と安全性を確保できます。食事介助やおむつ交換も頻繁に行うため、高さ調整機能により介護者の負担を軽減できます。50床の特別養護老人ホームで3モーター介護ベッドを導入する場合、1台18万円として総額900万円程度が必要です。中古品を活用すれば、1台10万円として総額500万円程度に抑えられます。
有料老人ホームは、要介護1から3程度の利用者が多い施設です。利用者の介護度に幅があるため、2モーター介護ベッドと3モーター介護ベッドを併用する方法が効率的です。要介護1から2の利用者には2モーター介護ベッドで十分な場合が多く、要介護3の利用者には3モーター介護ベッドが適しています。50室の有料老人ホームで、30室に2モーター、20室に3モーターを導入する場合、2モーター1台14万円、3モーター1台18万円として総額780万円程度です。将来的に利用者の介護度が上がった場合に備え、2モーターから3モーターへの入れ替えも計画に含めます。
グループホームは、認知症の利用者が中心で、介護度は要介護1から3程度が多い施設です。2モーター介護ベッドを基本とし、必要に応じて一部の居室に3モーターを導入する方法が適しています。認知症の利用者は、操作が複雑なベッドよりもシンプルな機能のベッドの方が使いやすい場合があります。18床のグループホームで2モーター介護ベッドを導入する場合、1台14万円として総額252万円程度です。中古品を活用すれば、1台8万円として総額144万円程度に抑えられます。
サービス付き高齢者向け住宅は、自立から要介護2程度の利用者が多い施設です。1モーター介護ベッドまたは2モーター介護ベッドが適しており、利用者の状態に応じて選択します。自立度が高い利用者が多い場合、1モーター介護ベッドで十分な場合もあります。40室のサービス付き高齢者向け住宅で、20室に1モーター、20室に2モーターを導入する場合、1モーター1台10万円、2モーター1台14万円として総額480万円程度です。
デイサービスは、日中のみ利用する施設で、休憩用のベッドが必要です。1モーター介護ベッドまたは2モーター介護ベッドが適しており、利用者が自分で操作できるシンプルな機能が好まれます。10台の介護ベッドを導入する場合、1モーター1台10万円として総額100万円程度です。
介護施設の種別により、特別養護老人ホームは全室3モーター、有料老人ホームは2モーターと3モーターの併用、グループホームは2モーター中心という選定基準があります。
次に、介護施設ベッドの導入方法と予算計画について解説します。
介護施設ベッドの導入方法と予算計画
介護施設ベッドの導入方法は、購入が長期的にコスト削減になり、リースは初期投資を抑えられますが、5年以上使用する場合は購入が有利です。
購入による導入は、初期投資が必要ですが長期的にコストを抑えられます。50床の特別養護老人ホームで3モーター介護ベッドを新品で購入する場合、1台18万円として総額900万円が初期投資として必要です。10年間使用すれば、年間コストは90万円、月間コストは7万5千円程度です。中古品を購入すれば、1台10万円として総額500万円、10年間使用で年間コスト50万円、月間コスト約4万2千円まで抑えられます。
リースによる導入は、初期投資を抑えられますが長期的にコストが高くなります。3モーター介護ベッドのリース料は1台あたり月額4千円から6千円程度で、50台では月額20万円から30万円、年間240万円から360万円です。5年間のリース総額は1200万円から1800万円となり、購入の場合の900万円と比較して300万円から900万円高くなります。ただし、リースには定期メンテナンスが含まれており、故障時の修理費用も不要な場合が多いため、メンテナンスコストを含めた比較が必要です。
レンタルによる導入は、短期間の使用に適しています。月額5千円から7千円程度で、購入やリースより割高ですが、3ヶ月から1年程度の短期間であればメリットがあります。新規開設時に一時的に利用者数が少ない場合、必要な台数のみレンタルし、利用者が増えてから購入する方法もあります。
まとめ買い割引の活用も重要です。複数台を一度に購入する場合、販売業者と価格交渉することで、定価の1割から2割程度の割引が期待できます。50台購入する場合、総額900万円が810万円から720万円程度に抑えられる可能性があります。新規開設時には他の設備投資と合わせて交渉することで、さらに有利な条件を引き出せる場合があります。
中古品の活用も効果的なコスト削減方法です。新規開設時に全室中古品を導入すれば、初期投資を半額程度に抑えられます。50床の施設で3モーター中古介護ベッドを導入する場合、1台10万円として総額500万円、新品と比較して400万円のコスト削減が可能です。製造から3年から5年以内の状態の良い中古品を選べば、購入後も5年から7年程度は使用できます。
段階的導入も検討すべき方法です。新規開設時には入居者が少ないため、初期は必要最小限の台数を購入し、入居者の増加に応じて追加購入する方法もあります。ただし、同じモデルが将来も入手可能かを確認する必要があります。
介護施設ベッドは、5年以上使用する場合は購入が総コストで有利で、初期投資を抑えたい場合はリース、短期間の使用はレンタルが適しています。


