在宅介護のベッド選びでパラマウントベッド楽匠シリーズを調べると、S・Z・プラス・Fitと複数の機種が出てきて、どれが適しているか判断しにくいという声があります。
名称が似ているうえに新旧モデルが混在しており、カタログだけでは機能の差がつかみにくい状況です。
機種によって搭載されている背上げ機構・対応できる姿勢の範囲・価格帯が大きく異なるため、違いを理解してから選ぶことが重要です。
この記事ではパラマウントベッド楽匠シリーズの機種別の特徴と、目的に合った選び方について解説しています。
パラマウントベッド楽匠シリーズとは?
パラマウントベッド楽匠シリーズとは、在宅介護を目的として開発された電動介護ベッドのシリーズで、背上げ機構の世代によってS・Z・プラス・Fitの4系統に分かれています。
1947年創業のパラマウントベッドが、医療・介護施設向けで培った技術を在宅介護に応用して開発したシリーズで、国内の介護保険レンタル市場でも最も利用実績の多い介護ベッドシリーズの一つです。
| 機種 | 背上げ機構 | 生産状況 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 楽匠S | らくらくモーション | 生産終了 | 超低床対応・スタンダードモデル |
| 楽匠Z | ラクリアモーション(3種類) | 生産終了 | ソファ姿勢対応・最大高さ64.5cm |
| 楽匠プラスX | らくらくモーション改良版 | 現行 | 超低床15cm対応・楽匠Sの後継 |
| 楽匠プラスH | ラクリアモーション改良版 | 現行 | 骨盤起き上がり対応・楽匠Zの後継 |
| 楽匠Fit X | らくらくモーション+フィットラインボトム | 現行(最新) | 超低床対応・アプリ連携 |
| 楽匠Fit H | ラクリアモーション+フィットラインボトム | 現行(最新) | 最新背上げ機構・アプリ連携 |
楽匠S・楽匠Zはすでに生産を終了しており、現在は中古品のみの流通です。
このように、パラマウントベッド楽匠シリーズとは在宅介護を目的として開発された電動介護ベッドのシリーズで、背上げ機構の世代によってS・Z・プラス・Fitの4系統に分かれています。
各機種の特徴を、次で詳しく確認します。
パラマウントベッド楽匠シリーズの機種別の特徴
パラマウントベッド楽匠シリーズは機種によって搭載される背上げ機構・対応できる姿勢・超低床の有無が大きく異なります。
楽匠S(生産終了・中古のみ)
楽匠Sは「らくらくモーション」を搭載したスタンダードモデルで、背部と腰部が連動して起き上がる機構で身体のずれを防ぎながら滑らかに上体を起こします。
床面の最低高は約20cmの超低床タイプで、転落リスクを抑えたい環境でも使いやすいモデルです。
JIS T9254の認証を取得しており、身体の挟まり事故に配慮した設計が評価されています。
1・2・3モーターから選べ、現在は中古市場での流通が主で、3モーターモデルで5〜10万円程度が相場です。
楽匠Z(生産終了・中古のみ)
楽匠Zは「ラクリアモーション」「らくらくモーション」「背ボトム単独動作」の3種類の背上げモードを搭載し、ソファに腰かけているような姿勢まで対応できます。
ラクリアモーションはベッド全体を傾けながら背を起こす動作で、食事・口腔ケア・リフト移乗の際に姿勢変化が少なくて済む点が評価されています。
最大高さは64.5cmまで昇降でき、ベッド下のスペースが広く介助者が足を踏み込んで接近しやすい設計です。
中古市場での流通量が多く、3モーターモデルで6〜12万円程度が相場です。
楽匠プラスX・H(現行機種)
楽匠プラスは楽匠S・楽匠Zの後継にあたる現行機種で、「プラスラインボトム」という新設計のボトム構造を採用しています。
プラスラインボトムにより背上げ時の骨盤の角度・身体のずれ量・上体の曲がり具合のいずれも前機種より向上しており、体圧を仙骨部からお尻と太ももに再分配して褥瘡防止に配慮しています。
XモデルはらくらくモーションとXタイプ専用の超低床15cm対応を組み合わせたモデルで楽匠Sの後継、HモデルはラクリアモーションとH専用ラクリアモーション改良版を搭載した楽匠Zの後継です。
楽匠Fit(2025年発売・最新機種)
楽匠Fitはフィットラインボトムという新構造を採用した最新機種で、背上げ時のずれをさらに抑制して姿勢保持力を強化しています。
液晶タッチパネル式の手元スイッチを新たに追加し、従来モデルも引き続き選択でき、停電時には乾電池で背・膝の下げ動作が可能なバックアップ機能を標準搭載しています。
スマートフォンアプリとの連携により、ベッドの操作・呼び出し機能の利用・ご家族のスマートフォンへの通知が可能になっています。
HタイプとXタイプがあり、Hタイプはラクリアモーション搭載、Xタイプは超低床(55.6〜99.1cm)対応です。
このように、パラマウントベッド楽匠シリーズは機種によって搭載される背上げ機構・対応できる姿勢・超低床の有無が大きく異なります。
ラクリアモーションの必要性による選び方を、次で確認します。
パラマウントベッド楽匠の選び方①ラクリアモーションが必要かどうか
パラマウントベッド楽匠シリーズを選ぶ最初の判断基準は、ラクリアモーションが必要かどうかという点です。
ラクリアモーションとらくらくモーションは、背上げ時の身体の動き方が根本的に異なります。
らくらくモーション(楽匠S・プラスX・Fit X)
背部と腰部が連動して起き上がる機構で、起き上がり時の身体のずれを防ぎながら滑らかに上体を起こします。
食事・読書・テレビ視聴など上体を起こす場面に対応できますが、ソファに腰かけるような深い姿勢には対応していません。
超低床設計のモデルが多く、転落リスクが心配な方や認知症の方に向いています。
ラクリアモーション(楽匠Z・プラスH・Fit H)
ベッド全体を傾けながら背を起こす動作で、最終的にソファに腰かけているような姿勢まで対応できます。
ベッドの傾斜によりフットボード側が低くなるため、天井方向に向かいがちだった視線が生活空間に向きやすくなります。
体圧を仙骨部からお尻と太ももに再分配する動作で、床ずれリスクを最も高い部位への圧力を軽減する効果があります。
どちらを選ぶかの判断基準
| 状況 | 推奨機種 |
|---|---|
| 食事・服薬・口腔ケアで頻繁に上体を起こす場面がある | ラクリアモーション搭載機種(Z・プラスH・Fit H) |
| 起き上がりのサポートが主目的 | らくらくモーション搭載機種(S・プラスX・Fit X) |
| 転落リスクが高い・超低床が必要 | プラスX・Fit X |
| 最新機能・ICT連携を活用したい | 楽匠Fit H/X |
このように、パラマウントベッド楽匠シリーズを選ぶ最初の判断基準はラクリアモーションが必要かどうかという点です。
楽匠Fitの新機能が必要かどうかの判断を、次で確認します。
パラマウントベッド楽匠の選び方②楽匠Fitの新機能を必要とするか
楽匠Fitが楽匠プラスと比べて優れている点は、フィットラインボトムによる骨盤起き上がり強化・液晶タッチパネル・乾電池バックアップ・スマートフォン連携の4点です。
フィットラインボトム
楽匠Fitでは新構造のフィットラインボトムを採用しており、背上げ時のずれ抑制力が楽匠プラスより向上しています。
腰部から胸部にかけてボトムの剛性を調整することでマットレスと身体のすき間なく背中を支え、姿勢が崩れにくくなっています。
液晶タッチパネル手元スイッチ
楽匠Fitでは従来の押しボタン式に加え、液晶タッチパネル式の手元スイッチが新たに選択肢に加わりました。
直感的な操作と片手でも使いやすい設計で、複数の機能を一画面で把握できるため、操作に慣れていない方でも使いやすくなっています。
乾電池バックアップ機能
停電時でも乾電池で背・膝の下げ動作ができるため、緊急時に利用者を安全な姿勢に戻せます。
楽匠プラスには標準搭載されていない機能で、停電リスクへの備えを重視する施設や家庭に適しています。
スマートフォンアプリ連携・呼び出し機能
手元スイッチからご家族のスマートフォンに呼び出し通知を送る機能を搭載しており、一人で過ごす時間が多い方の安心感が向上します。
スマートフォンアプリとBluetooth接続することでベッドの操作履歴確認や遠隔操作も可能になります。
これらの新機能が不要な場合は、楽匠プラスの中古品を選ぶことで費用を大幅に抑えられます。
このように、楽匠Fitが楽匠プラスと比べて優れている点はフィットラインボトム・液晶タッチパネル・乾電池バックアップ・スマートフォン連携の4点です。
パラマウントベッド楽匠シリーズのレンタルと中古購入の費用比較を、次で確認します。
パラマウントベッド楽匠シリーズのレンタルと中古購入の費用比較
パラマウントベッド楽匠シリーズの費用を最も抑えられるのは介護保険レンタルで、要介護2以上の方は月額800〜1,200円程度(1割負担)で利用できます。
| 方法 | 費用目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 介護保険レンタル | 月額800〜1,200円(1割負担) | 要介護2以上・状態変化の可能性がある |
| 楽匠S・Z 中古購入 | 5〜12万円 | コスト重視・長期使用・施設向け |
| 楽匠プラス 中古購入 | 8〜15万円 | 現行機種・長期使用・施設向け |
| 楽匠Fit 新品 | 20〜28万円 | 最新機能・ICT連携が必要 |
介護保険レンタルで月額1,000円の場合、10年間の累計は12万円になるため、楽匠Zの中古品(8万円)を購入した場合と比べると6〜7年目以降に中古購入の方が安くなります。
施設・法人で複数台を長期使用する場合、楽匠ZやプラスシリーズのJIS規格対応・動作確認済み・保証付き中古品を一括購入することでトータルコストを大幅に抑えられます。
中古品を選ぶ際は、モーターの動作確認済み・付属品一式・清拭消毒済み・保証付きの4点が揃っているかを必ず確認してから発注することが基本です。
このように、パラマウントベッド楽匠シリーズの費用を最も抑えられるのは介護保険レンタルで、要介護2以上の方は月額800〜1,200円程度(1割負担)で利用できます。


