介護施設や病院でベッドを導入する際、中古介護ベッドなら新品の半額程度で購入できます。
適切に選定すれば、品質を保ちながら大幅なコスト削減が実現できます。
しかし購入前には、動作確認や保証内容など新品とは異なる注意点があります。
特に複数台を導入する施設では、1台あたりの価格差が全体の予算に大きく影響するため、慎重な選定が求められます。
本記事では、施設や病院が中古介護ベッドを選ぶ際のポイントと購入時の注意点を詳しく解説します。
中古介護ベッドの選び方は?
中古介護ベッドは、動作確認・モーター数・マットレス状態・サイズ・販売業者の信頼性を確認して選びます。
動作確認では、電動機能が正常に作動するか実際に試し、保証内容を確認します。モーター数では、1モーター・2モーター・3モーターのどれが施設の利用者に適しているかを判断します。マットレス状態では、破れやへたり、カビや臭いがないか衛生面をチェックします。サイズでは、居室スペースに適切に配置できるか、高さ調整の範囲を確認します。販売業者では、医療機器の取り扱い実績があるか、清掃・消毒が徹底されているか、アフターサービスが充実しているかを見極めます。
中古介護ベッドの価格は、新品の3分の1から半額程度が相場です。1モーターが3万円から5万円、2モーターが5万円から8万円、3モーターが7万円から12万円程度で購入できます。10台導入する場合、新品では150万円から200万円かかるところを、中古なら70万円から120万円で済むため、50万円から80万円のコスト削減が実現できます。
中古介護ベッドの多くは医療施設や介護施設で使用されていたもので、定期的なメンテナンスが行われていた製品が大半です。特に大手メーカー製品は耐久性が高く設計されているため、中古でも十分に使用できる状態のものが多く流通しています。
中古介護ベッドを選ぶ際は、動作確認・モーター数・マットレス状態・サイズ・販売業者の信頼性という5つのポイントを押さえることが重要です。
次に、中古介護ベッドの5つの確認ポイントについて詳しく解説します。
中古介護ベッドの5つの確認ポイント
中古介護ベッドの購入では、動作確認と保証内容、モーター数と機能、マットレスの状態、サイズと設置スペース、販売業者の信頼性という5つを確認します。
動作確認では、電動機能が正常に作動するか実際に試すことが最も重要です。背上げ機能、膝上げ機能、高さ調整機能それぞれが滑らかに動くか、異音がしないか、途中で止まらないかを実際に動かして確認します。リモコンの反応も重要で、ボタンを押してから動作するまでにタイムラグがないか、すべてのボタンが正常に機能するかをチェックします。モーターから異常な音が聞こえる場合や、動作が不安定な場合は内部部品の劣化が進んでいる可能性があるため避けるべきです。保証内容については、信頼できる販売業者であれば1年程度の保証を付けています。保証期間中に故障した場合の修理対応や部品交換の条件を明確に確認しておくことが重要です。
モーター数と機能では、施設の利用者の介護度に応じた選定が必要です。1モーターは背上げ機能のみで価格は3万円から5万円程度、自立度が高い利用者向けです。デイサービスやリハビリ施設など、要支援から要介護1程度の利用者が中心の施設に適しています。2モーターは背上げと高さ調整機能があり価格は5万円から8万円程度、介護者の負担軽減に役立ちます。サービス付き高齢者向け住宅やグループホーム、要介護2から3程度の利用者が中心の施設に適しています。3モーターは背上げ・膝上げ・高さ調整のすべての機能があり価格は7万円から12万円程度、要介護度が高い利用者の体位変換や褥瘡予防に有効です。特別養護老人ホームや介護療養型医療施設に適しています。中古品を購入する際は、モーター数だけでなく、各機能の動作範囲も確認します。背上げは70度から75度程度まで上がるか、高さ調整は床から25cmから65cm程度の範囲で調整できるかをチェックします。
マットレスの状態では、衛生面を重点的に確認します。マットレスが付属している場合は、表面の破れやほつれがないか、中央部分が大きく沈んでいないかを確認します。防水カバーに破損があると内部に水分が浸透して衛生的な問題が生じるため、カバーの状態を入念にチェックします。カビや臭いの確認も必須で、マットレスを持ち上げて裏面も確認し、黒や緑色のシミがないか、カビ臭さがないかをチェックします。マットレスの状態が良くない場合は、ベッド本体のみを購入して新品のマットレスを別途用意する方が衛生的です。新品のマットレスは2万円から5万円程度で購入できるため、トータルコストを考えても合理的な選択肢です。
サイズと設置スペースでは、居室に適切に配置できるか確認します。介護ベッドのサイズは標準的な91cm幅のレギュラーサイズと、83cm幅のミニサイズが主流です。居室が広い場合はレギュラーサイズで問題ありませんが、多床室や居室スペースが限られている場合はミニサイズを検討します。ただしミニサイズは寝返りのスペースが狭くなるため、体格が大きい利用者には適さない場合があります。ベッドの全長も確認が必要で、一般的に190cmから210cm程度です。リクライニング機能を使用する際に背もたれが壁に当たらないよう、ベッドの頭側に20cmから30cm程度のスペースを確保できるかチェックします。高さ調整機能の範囲も重要で、最も低い位置での床からマットレス上面までの高さは、転落時の安全性に関わります。一般的に25cmから35cm程度まで下げられるものが安全です。
販売業者の信頼性では、医療機器や介護用品の取り扱い実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。販売実績や施設への納入実績を確認し、ホームページで会社概要や取り扱いメーカー、在庫状況などが明確に記載されているかも判断材料になります。清掃・消毒の徹底度も重要で、専門的な清掃と消毒を行っている業者であれば、衛生面での不安を軽減できます。施設や病院で使用する場合は、感染管理の観点からも徹底した清掃・消毒が行われた製品を選ぶべきです。アフターサービスの内容も確認し、購入後の故障時の対応、部品交換の可否、定期メンテナンスサービスの有無などを事前に確認します。複数台購入の場合は、まとめ買い割引や配送費の優遇なども交渉のポイントになります。
中古介護ベッドを購入する際は、動作確認と保証、モーター数と価格、マットレスの衛生状態、サイズと設置スペース、業者の信頼性という5つのポイントを押さえる必要があります。
次に、中古介護ベッド購入時の注意点について解説します。
中古介護ベッド購入時の注意点
中古介護ベッドを購入する際は、製造年の確認、部品供給の可否、試運転の実施、搬入経路の確認という4つの注意点を押さえます。
製造年が古すぎる製品は、たとえ見た目が良好でも内部部品が劣化している可能性があります。一般的に製造から5年以内の製品であれば、まだ十分な耐用年数が残っていると考えられます。10年以上経過している製品は、モーターやギアの摩耗が進んでいる可能性が高いため、慎重な判断が必要です。購入時に製造年を必ず確認し、施設の使用計画に合わせて選定することが重要です。製造から3年以内の中古介護ベッドであれば、購入後さらに5年から7年程度は使用できると考えられます。
部品供給の可否も重要な確認事項です。メーカーが製造を終了したモデルの場合、故障時に交換部品が入手できない可能性があります。購入前に、メーカーや販売業者に対して、そのモデルの部品供給状況を確認しておくことをおすすめします。大手メーカーは、生産終了後も一定期間部品を供給しているため、比較的安心です。特に電動ベッドのモーターやリモコンなどの主要部品が入手可能かを確認しておくと、長期的に使用する上で安心です。
購入前に必ず試運転を行い、すべての機能が正常に動作することを確認します。可能であれば、実際に横になってみて、リクライニング動作の滑らかさや安定性を体感することが望ましいです。複数台を購入する場合は、すべての個体で同様のチェックを行うか、サンプル機で確認した上で同一ロットの製品を購入する方法もあります。電動ベッドのワイヤーやケーブルの状態も確認し、ワイヤーに錆や断線の兆候がないか、ケーブルの被覆が破れていないかをチェックします。フレームやサイドレールの溶接部分にひび割れがないか、ボルトやネジが緩んでいないかも確認します。
搬入経路の確認も忘れてはいけません。介護ベッドは分解できる部分もありますが、フレーム本体は一定の大きさがあります。廊下の幅、ドアの大きさ、エレベーターの寸法を事前に確認し、スムーズに搬入できるか確認します。搬入が困難な場合は、追加の作業費用が発生する可能性もあるため、事前に業者と相談しておくことが重要です。階段での搬入が必要な場合は、さらに注意が必要で、手すりや壁を傷つけないよう養生が適切に行われるかも確認します。
中古介護ベッドを購入する際は、製造年と耐用年数、部品供給状況、試運転による動作確認、搬入経路と搬入方法という4つの注意点を事前にチェックする必要があります。


